◆登場人物◆
西町奉行・曲淵(まがりぶち)景露(かげみち)(24歳)
大坂で名奉行と言われた父親譲りの人情派、知将的に配下を使い、推理を中心にして事件を解決する。
部下には武闘派の与力・同心が多く対立を生む事も。
東町奉行・松下(まつした)保綱(やすつな)(40歳)
後に火付盗賊改のお頭になる人物で、町衆から鬼と呼ばれていた。
つねに配下にハードワークを要求する熱血漢。
上司でもある京都所司代にも噛みつき、嫌がられている。
京都の町衆からは、京都を守護する『阿吽の仁王様』と呼ばれる二人だが・・・
悪人からは侮蔑を込めて『東西の狛犬』と呼ばれている。
伏見奉行
島原太夫・・・島原・輪違屋の花魁
下女
義父
本山の僧侶・・・京都の案内係
末寺の僧侶・・・A/B/C/D
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尾張藩・弓の名手
紀州藩・弓の名手
天下一の娘・・・弓の名手(松下保綱の配下同心の娘)
◆あらすじ◆
江戸の町から、赴任先の京都へ旅を楽しんでいた西町奉行・曲淵景露(まがりぶちかげみち)は、伏見にさしかかったあたりで東町奉行・松下保綱(まつしたやすつな)の捕り物に偶然出くわした。
江戸から逃げて来た盗賊は町奉行所の追手を逃れ神社に逃げ込んだる
ここなら寺社奉行の管轄、町方には手が出せまい。
高を括っていたが・・・
江戸上がりの盗賊は知らなかった。京都の町奉行には、町奉行、勘定奉行、寺社奉行の三つの権限全てが与えられている事を。
唖然とする盗賊を尻目にドカドカと境内に踏み込んで刃向かう者は一刀の元に。
「どうせオメエたちゃ三尺高い磔柱に上がるんだ! それならここでワシに斬られて死ねいっ!」
鬼神のような太刀捌きで切り倒して行く。
恐れをいだいた悪党どもは与力・同心達に命乞いをしてお縄に就いた。
しかし・・・手柄は関ヶ原の合戦以来、家康の家臣である譜代大名が務める伏見奉行に持って行かれてしまう。
悔しがる保綱の配下の与力や同心達。
しかし、手柄には何の未練も無い保綱。
保綱の関心は京都の民衆を護る事、酷い急ぎ働きを犯し人命を殺めた盗賊が許せなかっただけなのだ。
保綱に加勢し、盗賊の捕縛に協力する事になった景露は、保綱からお礼にと酒席に誘われた。
酒宴の席に遅れてやって来た景露は裃を着けた正装で現れた。
保綱は知った、目の前の男が新しく西町奉行に就く男であると・・・
ここに名奉行と語り継がれる東西奉行が揃った。
景露は頭脳を駆使した捜査で事件を解決し、武闘派の保綱は力技で難事件を制圧する。
町衆からは京都を護る仁王様と呼ばれるが、悪人からは狛犬と罵られる。