「どうしていつもあなたは無残に、運命に殺されなければならないのですか……我が主、クシル…!!」
目の前で命を散らせた、この世で最も愛しい人。その最期を目に焼き付け、少女――カサンドラは目を覚ました。
カサンドラ・ノーチェス。一見普通の学生にしか見えぬこの十五歳の少女には、大きな秘密がある。
少女は“転生者”だった。はじまりの世界にて無残に殺された愛しい主を追い求め、悔いては死に、嘆いては倒れ、何百もの異世界を転生し続けてきたのである。
転生し続ける少女騎士カレン――現在の名はカサンドラ。八体の守護竜と、守護竜が仕えるガーネット神が統べる世界で、少女は世界を旅して恩恵を齎す“冒険者”となるべくアカデミアにいた。誰かの役に立つことをせずにはいられない、そんな“クシル”なら、転生したこの世界でもきっと冒険者を目指すであろうと信じて。
これはカサンドラの、無限とも思われた旅の一幕。
カサンドラは輪廻する。何も知らぬまま転生を繰り返し、無残に運命に殺され続ける愛する人を。この永遠の牢獄から救い出す、そのために。