これは、鬼退治で名を馳せた源頼光の末裔が、平安京に現われた吸血大納言時と戦う物語である。
平安時代の中頃、美濃国の若き侍・源光朝(みなもとのみつとも)は五年振りに都にやって来た。かつて失恋から逃げるように美濃に去った光朝にとって都は悲しい土地だった。帰京早々彼の前に現われたのは都大路を暴走する牛車、持ち前の弓矢の腕で牛を射て光朝はその暴走を食い止めた。彼は車に乗っていた藤原篤忠・温子(おんし)父娘と出会い、交流が始まる。
その頃都で奇妙な二つの事件あった。一つは敦賀国に不審船が漂着した事、もう一つは、朝廷で地位三番目の大納言・藤原蔵雁(くらかり)が虚弱体質から別人のように変わったという事...光朝の共同生活者で若き医師の平是信(これのぶ)はある仮説を立てた。蔵雁は西洋に伝わる鬼・吸血鬼となっており、夜な夜な人の生き血を吸っていると。最初は是信の説を笑っていた光朝だったが、蔵雁が鏡に映らない事を知り是信の言葉を信じるようになる。
光朝の吸血大納言退治が始まった。彼は美濃国から持って来た刀が、かつて曾祖父・源頼光が酒吞童子という鬼退治に使われた童子切という銘刀であり、自分が鬼退治のため選ばれた侍である事を知る。しかも蔵雁の毒牙は温子にまで伸びる・・・もう後戻りはできない。
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