時は1098年、平安時代中頃の事だった。
美濃国(岐阜県南部)に住む二十歳の侍・源光朝は5年ぶりに都に帰って来た。かつて都で派手な失恋をした光朝にとって都は苦い思い出のある地だった。
都に帰着した日、光朝は大路を暴走する牛車を弓矢で止めた。その車から出て来た女性は藤原温子、彼女は貴族の娘ながら歌や音曲に興味を示さず、新興勢力=武士の逞しさに心惹かれると言う。今までにないタイプの女性、温子...光朝の心から徐々に失恋の痛手が消えて行く。
一方、当時ヨーロッパで起きた十字軍により、中東と言われる西アジア地域にキリスト教の波が押し寄せて来た。かの地で蠢いていた吸血鬼たちはキリスト教の圧迫を逃れ東へ東へと移動して行った。インド→中国を経て極東の日本までやって来る者もあった。当時朝廷で第三位の地位にあったのは大納言・藤原蔵雁、頭脳明晰ながら虚弱体質で自分の思った政治が出来なかった蔵雁は吸血鬼の体を乗っ取り、不老不死かつ超人的な体を手に入れる事を目論んだ。
そんな事件があったのも知らず光朝の都暮らしが始まった。共同生活者は2才年下の医師・藤原是信、彼は持ち前の好奇心で日本にも吸血鬼が存在する事を突き止めた。そしてそれがかの大納言・藤原蔵雁であると調べ上げる。大納言・藤原蔵雁による犠牲者は増えていく。吸血大納言はその凶悪な眼差しを遂に藤原温子に向けた。
彼女を守るため、都人を守るため、光朝は是信と共に吸血大納言退治へと向かう。
そして彼は知る...自分が100年前に大江山で酒吞童子を銘刀・童子切で倒した源頼光の曽孫で、美濃国から携えて来た刀がその童子切であった事を。