茜は獣のような耳を持つ少年と唐突に出会った。彼は自らを神様だと自称した。変わった軟派だと感じた茜は彼に友人たちの苦悩を話す。どこまでも澄んでいる夏の空には、白い雲が積み重なっている。果たして彼は、茜や彼女の有人になんと言葉を掛けるのだろうか。
学校という閉鎖空間で交差する感情と苦悩。高校二年生という思春期真っただ中の彼らが、自分の願いと現実の間で板挟みになる中、どう世界に折り合いをつけて生きていくのか。
そしてそれを見守る人ならざる存在達は、彼らに何をして、どんな言葉を掛けるのか。
自分と世界を知るという命題に知らずしてぶつかる彼らは、答えを出すことを迫られる。
栞と一樹、それに聡美は、人の想いにどう向き合うべきなのか。
未だ純粋無垢で優しい彼らは、時に苦悩を、時に歓喜を抱いて、恋をする。
この物語は、現代人が忘れつつある、相手を純粋に好きになる事と相手の心を尊重する事の重要さを思い出させてくれる物語。