ルージェ王国の一人息子である、アルジャーノン皇子殿下の成人を祝う舞踏会が行われることとなった。
出自のいい貴族令嬢なら誰でも招待され、アルジャーノンに見初められた者はその者が成人する時に次期王妃としてルージェ王国に嫁入りすることとなる、婚約者選びも兼ねていたこの舞踏会。
皆が花嫁になるべく躍起になる中、一人夜空を見上げて、静かな微笑みを浮かべる彼女に一目惚れしてしまったアルジャーノンは、シャルロットの思いは聞かないまま、半ば強引に自身の婚約者とするのだった。
それをよく思っていなかったのが妹のレティシアだ。彼女はシャルロットとは正反対の強気で少々わがままな少女。姉が必死に勉強している間も、余計な横槍を入れては適当にあしらわれつまらない思いをしていた。
何より、自分よりもおっとりしていて特に魅力もなさそうな姉が王妃になるという事実が羨ましくて仕方なかったのだ。
どうにかして自分が王妃になりたかったレティシアは自身の持つ『黒鳥の炯眼』を使って、姉のシャルロットを乗っ取ろうという最悪な計画を立てるのだった……。
女の嫉妬は炎。
その炎に焼かれてしまう前に、本物の愛を見つけられる瞳を持つのは一体誰か。
衝撃の結末に、きっと涙が止まらない。