筑紫友紀子は、自分の進路に悩んでいるありふれた中学三年生だった。そんな彼女の人生は、ある日を境に一変する。
夏が終わりかけていた九月某日。下校途中の友紀子は見ず知らずの男に襲われる。彼女は命の危険を感じて抵抗し、男を階段から突き落としてしまった。男は頭から血を流して動かない。殺してしまったと動揺する彼女の元に、クラスメイトの赤羽葉月が現れる。葉月は、今起きたことを見ていた。焦る友紀子。しかし葉月は、驚きもせず辺りを見渡した後に、友紀子をその場から連れ出した。二人は土手から離れた町中で立ち止まる。そして葉月は「さっきのことは、忘れて」と言い、立ち去った。友紀子には、葉月の言動の全てが理解できなかった。
最悪な出会い方をした二人が生きていく。それだけの話。