──大政奉還より十年。
かつての恨みや憎しみは、未だ明治政府の根幹を恐怖で揺さぶり続けていた。
明治10年秋。西南戦争に参加し、負傷していた藤田五郎が警視庁刑事課三係に復帰を果たすその日、三係に新人が配属される。
新人の名は、黒鋼一心。今朝、田舎から上京してきたばかりの青年で、登庁前、掏摸に遭っていたのを助けた青年だった。
警部補となっている藤田は、明治維新前は京都で知らぬ者はいない、新選組の三番隊組長・斎藤一であった。
復帰早々、藤田達は元薩長の志士から貴族の称号を金で買い、男爵にまで成り上がった井上邸の合同警護に駆り出される。
井上の元には「因果応報。汝、報いの時来たり」という怪文書が届いていたのだ。
その怪文書は最近、帝都で発生している連続殺人事件の被害者宅に送られている物だった。井上は過去の悪行を藤田らには一切語らず、ただ自分を守るように告げて去る。
男爵がパーティー中に半妖となった少年の手によって殺害された現場に、死んだと聞かされていたかつての新選組の仲間・一番隊組長・沖田総司との邂逅を果たす。しかし、互いに別の名を名乗り、彼は書道家として藤田の前に現れた。
男爵殺害事件以降、表沙汰にこそならないが、薩摩・長州出身の政府要人や役人の暗殺が続発するようになる。捜査する藤田達の元に、ある目撃情報が入る。それは、「新選組の亡霊が現れた」というのだ。そこで、捜査は一係から三係へと正式に委譲される事になる。
政府要人を暗殺するのは、主に二つの組織だった。
一つは、京都を中心に暗躍する紅夜という暗殺組織。彼等はそれぞれ人間と妖怪の血を引く者達で、普段は雅楽集団・六花として活動している。もう一つは、明治政府に対して強い恨みを持つメルティアや浅葱達。藤田達3係は彼等と戦う事になる。
捜査の為、京都へ赴き紅夜と戦う藤田達。しかし、藤田達が京都へ行っている間も、政府の役人に対する暗殺事件は後を絶つ事はなかった。