ルルバは獣耳と尻尾を持った、獣人族最後の生き残りの少女である。
人間とは交流を持ってはいけないとされていたにも関わらず、彼女はグラウデ伯爵家のフィルと、草原の広葉樹の下で出会うことになってしまった。
薄汚い身なりをしているルルバに対しても優しく分け隔てなく接してくれて、しかも仄かに好意すらを覗かせるフィル。
これまで恋愛などというものをしたことのなかったルルバは、フィルに対する感情を整理し切れず大いに戸惑ってしまう。
獣人族が人間である彼に対して、こんな想いを抱いてしまうなんて……。
初めて会った日に受け取ったフィルからのプレゼントを眺めながら、悶々とする日々が続くのだが、とある嵐の日にふたりは再び出会うこととなる。
風雨を避けるためにルルバの住処である岩陰で、嵐が過ぎ去るのを待つふたり。
その夜に、お互いがお互いに抱いていた想いが遂に爆発して――。
※完全版の内容から18禁描写をなくしたバージョンとなっております。