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加藤無理

犬嫌い

犬嫌いにとっての犬は熊みたいなもの。犬の牙と瞬発力は遥かに人間を凌駕する。嫌悪を通り越して恐怖である。

 犬も人間も同じ生物だが、犬と人間は違う。

 犬嫌いは白人が東洋人や黒人を差別するのと同じだと思うだろうが、全然違う。東洋人も黒人も人間だから意味なく噛みついたりしない。

 犬は嫌われることに敏感で、更に犬嫌いを追い詰める。犬嫌いが犬とすれ違わないように道を変えたり離れたりすると、わざわざ犬が近寄って吠えて飛びかかろうとする。

 飼い主がしっかり首輪のついた紐を握りしめていないと怖くて仕方ない。

 むしろ犬の方が人間を選別して差別している。犬は飼い主以外には吠えたり牙を向けたりする。犬嫌いが暴力どころか飼い主にも犬にも近寄っていないのに。

 飼い主含めて犬と同居している人間にも犬は噛みついたりする。人間を対等に見ていない。格下か格上か常に意識する。

 嫌われたら離れていく猫の方がよほど気楽だ。

 人は犬を愛せない人間を人でなし扱いするけれど、人間を見下す犬の方が酷い。

 犬嫌いな私も犬を虐待したり殺したり無茶な繁殖させたりするのは嫌だけれど、むしろ中途半端な犬好きがやってる事だ。犬嫌いは本当に犬に近寄れない。怖いのだ。

 殺処分寸前の保健所の犬を確保する気は無いけれど、犬を捨てる奴を私は許せない。犬嫌いだから野良犬なんて耐えられないし、保健所の身にもなれ。

 可愛いからといってどんどん繁殖させるのも虐待だ。メス犬の負担がデカイし、多頭飼いは難しいから結局、他の人に飼育させる場合が多い。最初から不妊治療して欲しい。

 犬は少子高齢化になっても良いだろう。老犬を愛せない人間が犬嫌いをバカにしないで欲しい。

 人間を悟って大人しくなった老犬の方がまだ魅力がある。

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