もう生きるのはやめよう。家族関係も仕事も上手くいかず、挙句の果てにはストーカー被害に悩まされる。誰にも助けを求められない生活を送っていた深里美空は、自殺することを決意した。
ネットで調べてでてきた自殺スポットへ赴き、死ぬことへの覚悟を決める。
「どうせ死ぬのなら、僕と結婚してから死んでくれ」
自殺するために吊った縄に手をかけたときに気づいた人の気配。
後ろを見れば、そこには大学で同じサークルだった金子大貴の姿があった。
「もしかして、大貴くんがストーカーだったの?」
「そうだよ」
大貴は、美空に対して一つの提案をする。
「最期の記憶くらい、楽しいものにしようよ。僕が絶対に美空ちゃんを楽しませる。
だから、君の最期の一年を、僕にくれないかな?」
美空は困惑した。自分のストーカーが顔見知りであったことにも驚きだったが、そんな彼に求婚されたことが信じられなかった。
同棲期限は一年。一年たっても死にたいと思えば死ねばいい。そう大貴は美空に言う。
死を覚悟したその日から、美空と大貴の同棲期間は始まったのだった。