次の生への転生も地獄へ落ちることも許されない魂の行く世界、冥界で目覚めた少女、遠江瑠璃。
元神である、宮永伽也子や幻獣リンとともに、亡者と呼ばれる怪物たちと戦い、自分の過去や冥界に隠された秘密を探っていく。
《登場人物》
遠江瑠璃(とおとうみ・るり)
【主人公・人間/中学生(女性)・15歳】
記憶をなくした少女。
おっちょこちょいで、妄想癖ありの直情型娘。甘いもの好き。生前の記憶がほとんどないが、死ぬ間際の光景を夢で見ることがある。
中肉中背のあまりぱっとしない特徴だが、顔立ち自体は悪くない。さらさらストレートヘアがひそかに自慢。
自分の大事な物・者が傷つけられることが大嫌い。そのためなら躊躇なく何でもする。
宮永伽也子(みやなが・かやこ)
【元神/(女性)・20代前半】
冷気を操る元神。
大きな瞳に、白い肌を持つ美人。大和撫子を絵に描いたような人物。自分のことを「わたくし」と言う。
寒がりではないが大抵着物に羽織を着用している。左手は姉との戦いで失われたため義手をつけている。
能力を使う時、その髪は白くなり、瞳は氷のように冷たくなる。
自分と年齢の近い瑠璃を不憫に思い、屋敷に住まわせている。
姉との争いをきっかけに、神の座を降り、冥界に下る。
リン
【幻獣/(雄)・年齢不詳】
伽也子に飼われている幻獣。
犬か狐のような見た目で青みがかった銀色の毛で覆われている。頭は大きく、目はクリクリとしていて、尻尾は太く短い。
マスコットキャラクターのように愛らしく、少年の声をしているが、話し方はぶっきらぼうな中年のようで、瑠璃にその点を注意される。
螺鈿院キリ子(らでんいん・きりこ)
【からくり人形/(女性)・20代前半】
魂が宿った、からくり人形。
長身で、桶の頭に茶色のぼさぼさ髪。体は歯車やバネ、ゼンマイなどから構成され、動くと機械らしい音がする。
黒合羽を着ることが多い。見た目とは裏腹に、かわいらしいアニメ風の声でしゃべる。世話好きで優しく、力持ち。
洗濯、掃除など伽也子の身の周りの世話をしている。
お富(おとみ)
【人間/(女性)・70代後半】
信心深い老婆。
伽也子の屋敷での料理担当。常に割烹着姿で、複数の地域の方言を使って話す。
伽也子を尊崇しているので食事は同席しない。思ったことを素直に話す性格。
しょぼしょぼした目ながら、よく物事を観察している。
宮永妃美子(みやなが・ひみこ)
【元神/(女性)・20代前半】
炎を操る元神。
伽也子の双子の姉。善良な魂を虐殺したため地獄に送られる。
伽也子と同様、着物を着用している。元神なので地獄では特別な待遇を受けている。
性格は妹同様、大人しいが、怒ると見境なく周囲のものを焼き尽くす。
《世界観・用語の説明》
・冥界
瑠璃が死後、訪れた場所。江戸、明治期の日本風世界。周囲を白い漆喰の塀で囲われている。
次の生へ転生すべきでない、または地獄へ行くことが不適当な者が送られる世界。
塀を越えようとすると、神に罰せられ、痛い目に合うか、地獄送りになる。
・魂
亡くなったものの総称。通常、肉体を持たないが、肉体を保持したまま冥界に来る者もいる。
物体に乗り移り、肉体の代わりに動かすこともできる
・神
死者の次の転生もしくは地獄送りの選定を行う審判官。死者への罰を与える執行官でもある。
・亡者(もうじゃ)
地獄で罰を受ける魂の総称。通常は鋭い牙と長い爪を持ち、目は血のように赤い。
魂の資質や罪の重さによって、その形態は異なる。人間の肉を好む。
・クナドの門
地獄と冥界、現世との間に設けられた、死者の行き来を妨げるための門