吉乃は、親友の家へ走っていた。親友の母である墨子によって通された先の仏間に、吉乃の親友である「八重子」は、静かに横たわっている。
昨日まで生きていた親友の急死に憔悴する彼女は、休むようにと貸し出された八重子の部屋に足を踏み入れた。その先で、彼女は八重子の死をまざまざと思い知ることになる。
喪失に傷つき、疲れ果てた吉乃が、それでも白檀の香りを愛せるようになるまでの、一晩の話。
とこしえに在るものより、生きている中で塗り替えられてしまうもののほうが多い日々。けれど、たとえ一つが変わってしまったとしても、大切なものは案外にずっと、私たちの傍に在り続けるものだと思います。
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