anzu

距離

私の中で彼の存在が大きくなり、目で追いかけている自分がいた。
部活の飲み会にはめったに顔を出さなかった彼がたまにくると心がうきうきしている自分がいた。

もう自分でも自分の気持ちを抑える事が出来なくなっていたんだと思う。

もうだめだ。

その時付き合っていた彼に突然別れを告げた。好きな人が出来たことは伝えなかった。今思うと最低なお別れをした。あんなに大事にしてくれていたのに。とても愛されていたのに。
半同棲をしていたので、彼の家にあった荷物を友達に手伝ってもらって夜彼がいない間にごっそりと実家に送った。
まるで夜逃げ。

それが4月。私は大学三年になった。

大学では新入生歓迎週間だった。部活の勧誘期で部長をやっていた私は毎日朝早くから大学に行かないといけなかった。
なんで私が。。なんせ朝が苦手だったが、私が行かないと勧誘ができない。フラストレーションがたまって毎日誰かを飲みに誘っていた。
部員はローテーションで勧誘をしていたが、なぜか部長は毎日参加しないといけなかった。
気になっていた彼が当番の時に、他にも後輩や同期が一緒にブースの中にいたのだけど私の彼氏の話になった。
その時に別れた事を話の流れでした。
その時、気になっていた彼がなぜかとても喜んでいた。その時は素直に別れた事を喜ばれて少し期待をしてしまったが、怒ったふりをした。

勧誘は夕方まであって、机の片付け等を毎日しないといけなかった。
気になる彼と一緒に机を片付ける事になった。
その時間、夕日に変わった太陽の方に向かって歩いていたのだけど、その時太陽に飛行機雲が一直線にかかっていて、光がきらきらしていてとてもきれいで思わず「きれいだね」とつぶやいた。
彼も「綺麗だな」とつぶやいた。
空気がとても甘く、優しく夕日の色に照らされた柔らかい赤い色の光が私を包み込んだ感覚があった。今でも目を閉じるとその太陽や空気感が鮮明に浮かぶ。

あぁ彼が好きだ。

確信に変わった。

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