ある日、銀杏並木がオレンジ色の夕日の光のシャワーに包まれた
幻想的な風景に出合い思わず佇んだ。
そこに裕子さんの姿を見た様な幻想に陥った、有り得ないのに。
その日の夜、その感動を忘れない様に描き留めようと筆を走らせて
一晩の内に一気に描き上げた。それが短編小説のように纏まった。
自分でもよくこれだけの文量を一晩の内に描けるものだと不思議な
感覚だったが、それだけのエネルギーが残っているということは、
きっと未だ若いのだろうなあって思えた。
未だ中学生のあの頃のまま少しも変わっていないと実感した。
元々、僕は幼稚でお坊ちゃんだったからね。
中学生の頃は鉄腕アトムや鉄人28号とか海のトリトンなんて
漫画ばっかり読んでて、社会人になってからも小説なんて一冊も
読んだ事も無いから描き方さえ一切何も知らないのに自分でも
驚いている、不思議な感覚だった。
初恋の裕子さんへの想いを募らせながら泣きじゃくって描き捲った。
こんなに涙もろいというか、心に温かいものがいっぱい流れていると
そう思えた。
思春期の中学生が大好きな子に初恋をする”恋ごころ”という想いが
今でも何も変わっていない純心無垢で清らかで穢れ無い純情少年の
ままなんだということが何よりも僕の信条であり恋愛観なのだから。