高三の南條要は、剣道部の朝練のため早朝に登校した。
そこで飼育栽培部の一年、鷹取沙菜と出合う。
ザリガニを『ザルガニ』と呼ぶ沙菜だが、要は真面目な彼女に好意を持つ。
そこへ沙菜の担任であり、部活の顧問である野見山先生が登校して来る。
野見山は、ブラック部活と恐れられる飼育栽培部の元凶であり、自分のクラスの沙菜も無理矢理、飼育栽培部に入れた男だ。
野見山は要と沙菜を叱責して去る。
ほっとしたのも束の間、沙菜が掃除していた水槽からザリガニが逃亡する。
どうやら野見山の鞄にくっ付いて行ったらしい。
さらなる叱責を恐れた沙菜と、責任を感じた要はザリガニを取り戻すため、生徒指導でもある野見山が使う生徒指導室へ放課後に忍び込む。
だが、沙菜が野見山が仕掛けたトラップに引っかかる。
すぐに野見山が部屋に駆けつける。
間一髪、要は機転を利かし、沙菜と2人で掃除道具入れに隠れる。
沙菜を抱きしめ、彼女だけでも守ろうとする要。
すぐに見つかると覚悟する2人だったが野見山は無人の部屋で誰かにしきりに話しかける。
実は野見山は校内では生き物嫌いで有名だったが、本当は動物好き。
部員全員にザリガニを逃がしたことを隠すため、生徒指導室に保護していた。
動物嫌いの妻にも頭が上がらず、散々ザリガニに愚痴をこぼす。
妻からの電話でやっと部屋から野見山は帰宅する。
要と沙菜はやっとの思いで生徒指導室から脱出した。
学校からの帰り道で寂しさを感じる要。
礼を言う沙菜にザリガニが戻って会えなくなることを告げる。
すると沙菜は突然怒り出し、要に会えなくなるなら飼育栽培部を辞めると言い出す。
驚く要。
沙菜はポロポロ泣きながら要を好きになったことを告白した。
沙菜に次の日曜の予定を聞く要。
沙菜の気持ちを嬉しく感じた要は、沙菜と『ザルガニ』冗談のオチを言いながら、2人仲良く街灯の下を歩いて帰る。