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わい

わーいわいわい

閲覧ありがとうございます。
インドアを極めし者『わい』です。
宜しくお願いします(*^_^*)

物語の裏ではこんなことが起きていた。


【登場人物】

周防壱…19歳。尊の妻でありボディーガード。顔は良いが、性格は悪い。尊の前では、猫をかぶりがち。男装女子。

志藤尊…21歳。志藤組の跡取り息子。しかし、本人はヤクザが嫌いで、跡を継ぐ気は更々ない。家を出て、現在はアパート暮らし。

ヤン・ジン…14歳。ガラン族の戦士。いつの間にか、尊の隣の部屋に住み着いていた。

【物語の裏ではこんなことが起きていた】

ある夜のことだった。

時刻は午前1時を過ぎており、周防壱がクタクタになって帰宅すると、愛しのダーリン、志藤尊はお布団の中で安らかに寝息を立てていた。

その呑気な寝顔を見た瞬間、壱の今日の疲れは宇宙の彼方にまで吹っ飛んだ。

劉にコキ使われ、義龍に「あんた、もう少し上品に振る舞えないのか。」と嫌みを言われ、荒みきった胸中に、夜風の如く澄みきった風が吹き抜ける。

壱はスーツも脱がずに、尊の隣に横になった。

シャワーも後回しにして、今はこの平和な寝顔を、心ゆくまで眺めていたい。

そんな至福の一時に浸っていると、ふいに尊の唇が動いた。

どうやら、何か言おうとしているようだ。

『何だか、イタズラしたくなっちゃう唇だなぁ。』なんて思いつつ、壱がしばらく様子を見ていると、やがて尊がムニャムニャと何事か呟いた。

「ん…壱…。」

「…あ?」

まさか、寝言で自分の名前が出てくるとは思ってもみなかった壱は、目を丸くした。

「壱…駄目…そんな…あッ…。」

「………。」

「壱の…ばかぁ…だ、駄目って言ったのに…。」

「………。」

壱はそれ以上は聞いていられなくて、無言のまま立ち上がった。

耳まで真っ赤にして、部屋には自分と尊しかいないにも関わらず、その顔を誰にも見せまいとするように、片手で覆い隠す。

な、何だ、今の寝言は…。

ま、まるで尊が俺に襲われてる夢を見ているみたいな…。

ふと、壱の脳裏に、あやふやでいい加減な情報が蘇った。

確か夢っていうのは、そいつの潜在的な願望だって、テレビで言ってたような、言ってなかったような…。

つ、つまり、尊にそんな願望が…!?

そうか、こいつが俺に手を出してこないのは、俺が美人すぎて腰が引けてるからだと思ったが、本当は俺に強引に初めてを奪われるのを待ってたのか!?

と、すぐにこういう考えに直結してしまうところが、壱が義龍に品がないと罵られる所以だった。

そして、壱の欲望にまみれた魔の手が、ゆっくりと尊に迫りー…。

「ご主人様、気持ち悪いです。」

隣の部屋から、邪悪な気配を察知して起きてきたヤン・ジンが現れ、その頭に弓矢の一撃を食らわせた(矢を射るのではなく、弓の部分で普通に殴った)。

その手加減一切ナシの不意打ちにより、汚れた心の持ち主は気を失い、こうして、尊の純潔は無事に守られたのだった。


そして、その翌朝。


「おっはよ、ダーリン♥」

周防壱は頭にでかいコブが出来はしたものの、元気に生きていた。

妙に機嫌の良い壱の顔を薄気味悪そうに見ながら、尊が言う。

「あのさ、ヤン君が簀巻きにされて、庭の木にぶら下がってたんだけど…あれ、何?」

「さぁ?ガラン族の風習なんじゃねーの?」



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