弄月鬼、二章・第一話
第二次・長州征討について、かなり省略して結論だけ書きましたが⋯⋯
幕府軍は戦の際、かなり非道な振る舞いを、長州の民に対して行っていたようです。
もちろん長州がそれまでしてきた行いが、正しかったなんて言いませんよ?
戦とは、いつの時代も悲惨を極める物なのだろうとも思いますが、それにしたって⋯⋯。
なんと言いましょうか、この時代の人達は、日本という漠然とした大きなものより、生まれ育った藩という小さな区切りで、自他を分けていたのではないかと。
生まれた土地を生国と言うくらいですから、藩は国そのものであったのでしょう。
現代と違い、主要な街道などには関所がもうけられ、そこを通るには手形(今で言うパスポート)が必要でしたし、人々が生まれ育った土地を離れるためには信仰(たとえば、御伊勢参り)や湯治など、確たる理由を藩にのべて、許しをもらう必要がありましたから、皆が皆、旅を楽しめたわけではないはず。
もちろん、旅費も相当かかったでしょう。車や電車もないのですから当然、庶民は徒歩となります。
様々な事情から、土地を離れられない人も居たでしょう。
そのような閉じられた日常の中で、遠くの日常に__他藩、他国、他思想、他信仰に__共感して親しみを持つ事は、きっとひどく難しかったのでしょうね⋯⋯。
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