弄月鬼、四章・第五話
*損料屋とは〜
前話のブログではスルーしてしまいましたが⋯⋯損料屋とは、現代で言うレンタル業者さんのようなものです。
扱う品は多岐に渡り、鍋や布団といった細々とした日用品から、冠婚葬祭の際にだけ使用するような高級な家財道具、普段はまったく不要な旅用品、はては生活に密着した褌(ふんどし)なんて物も。
褌についてはツッコミどころ満載なんですが、それを書くと非常に長くなってしまうので、はぶかせていただきます。もし気になるようでしたら、調べてみてくださいね。
ともかく損料屋というものは、町民達にとって身近で密接な関係のお店だった事は確かなようで、江戸では非常に重宝されていたもよう⋯⋯
当時から江戸は人口密集地で長屋が多く、火事も多かったので、その辺りの事情も関係しているのでしょう。
一般的な長屋は、四畳半の畳敷きに土間といった大変コンパクトな造り__ぶっちゃけ、押入れすらない激狭物件でした。そりゃ、家具も最低限しか置けませんよね。布団、敷けなくなっちゃいますし。
まして家財道具の類いは決して安くはないですから、頑張ってそろえても火事で焼けてしまったら大損。じゃあ『買うより借りよう』と、なる訳です。
失って困るような高価な物は元から無く、そもそも持たないので、江戸の庶民達は火事が起こると身一つで__中には茶箪笥を背負って奔走する、なんて強者も居たようですが。__脱兎の如く、逃げ出す事が可能でした。
ある意味これも生活の知恵、まさに断捨離の極意ですね。現代人には、とても無理そう⋯⋯。
話は変わって、髢(かもじ)とは〜
ずばり、つけ毛の事です。現代風に言うならエクステでしょうか?
花魁や太夫の豊かで豪華な日本髪は、この髢が多用されています。
あの複雑な結い方をするには、地毛だけでは到底まかなえませんものね⋯⋯。
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