その瞬間、わたしは君に恋をした ~記憶がなくても、君のことがずっと好き~〔完〕

作者丸山矢識子

物語は「《アキ》の視点」と「《ハル》の視点」に分かれています。アキちゃんの視点は記憶を遡る構成で、ちょっぴりサスペンス風にしています。ハルくんとアキちゃん、二人の物語の交差点まで、ぜひお付き合いください✨



だれかわからないのですが、

わたしには、

好きな人がいます。



* * *




 昔のことは覚えている。けれど、ついさっきのことは忘れてしまう不治の病におかされた女子高生のアキ。彼女は、毎日毎日ほんのわずかな瞬間(モーメント)の記憶しかない中で、それでも明るく前向きに暮らしていた。アキは、クラスメイトのことは忘れていなかったけれど、途中から転校してきた男の子ハルのことはどうしても覚えられずにいた。しかしアキにとってハルはどこか特別な存在であることは間違いなく、またハルにとってもアキは特別な存在だった。これは、短期記憶障害を患う少女アキと転校生ハルの、ひたむきな恋愛物語。