この記憶がある意味はきっと、たった十数年の《俺》の人生が無駄じゃなかったということなのかもしれないーー。鬼神敦己は生まれ変わった。彼が存在した、ちょっと先の未来に。今度は「女」として。


物語全体のあらすじ





鬼神敦己おにがみあつき、享年18歳。

高校卒業間近の冬に彼は命を落とした。

敦己は、地元では多くの人間から慕われ、有名だった。面倒見の良さと持ち前の明るさで老若男女問わず多くの人から厚い人望があり、一匹狼の不良、十文字じゅうもんじとも唯一の友人関係にあった。



そんな悩み知らずの陽気な男にみえる敦己は、幼い頃に育児放棄レグネクトを受けていた。

死ぬ寸前だった敦己を救ったのは当時少年課刑事の桐谷きりたに。周りと比べ達観した男に成長したのは桐谷や周りの大人のお陰だった。若くして産んだ母親が当時精神的な理由で育てられないと判断されてからは施設で過ごしていた。両親は敦己に対して負い目を感じギクシャクしている為、高校からはバイトを掛け持ちしながら一人暮らしを送っている。


現在は歳の離れた9歳の弟、純己じゅんきを可愛がり、一緒によく買い物したりバイト先の洋食店で飯を食わしたりしている。純己にとっては自慢の兄で家族一緒に暮らせないのを疑問に思っている。



敦己は、桐谷が嫁の妊娠でもうすぐ父親になるのだと報告を受けた数日後、不穏な知らせを聞く。不良グループが十文字と揉めている、と。後にその事件がきっかけで、十文字を救うが敦己は命を落とすことになる。





死んでから、15年。

鬼神敦己おにがみあつきは、死んで割とすぐに記憶を持ったまま生まれ変わっていた。


天城八雲あましろやくも、14歳の女子中学生。

新しい人生を歩んでいる彼女は、随分前からこの世界が過去の自分が生きた時間の続きだと知っていた。ただ過去に干渉するべきではないと関わらないようにしていた。

しかしかつて自分の弟だった純己が教師になっており、そこから次々と過去の自分のーー鬼神敦己の死に囚われている人達を目の当たりにすることになる。



十文字は、正気がない死んだ魚の目をしたなんだか物凄くヤバそうなおっさんに。


弟の純己は教師になったものの、女をとっかえひっかえしているひねくれモラハラ男に。


桐谷は、息子から盛大に嫌われている仕事一筋のダメオヤジに。その息子は、人にも自分にも厳しい無愛想で冷たい男に。



自分の大切だった者達が敦己の死をきっかけに壊れかけている……八雲はこのままではまずいと、少しずつ世話を焼くことに決めたのだったがーー。