終業式を済ませたグラウンド前で桜井恒平は目に留めた。フェンスの向こうを見つめるのは、一つ上の幼なじみである菅野宮都。戻れない過去といまだ名前のつかない感情をほのかに抱きながら……恒平には決意している夢がある。夏の午後の小さな物語。

宝石のような瞳。視線の先。


戻れない日々に代わってつなぐ夢。


胸の中で宿る感情の名を知る前の、彼と彼女。


You and summer make my days beautiful.