レストラン「海の星」。従業員は男三人。大学卒業の頃、就職しそびれてオープニングスタッフとして転がり込んだ接客担当。料理の腕は抜群のオーナーシェフ。ちょっと口の悪いパティシエ。時々巻き込まれる、近所の和菓子屋「椿屋」の若旦那&和菓子職人。
 日々の仕事でぶつかったり、わかりあったり、悪ふざけしたり…


画像タイトルを入力…


illustration:遥彼方さま




「レストラン『海の星』です」



 失敗して、反省して、身内でわかり合ったからといって。

「あの日」のお客様は帰ってこない。


 スタッフの入れ替わりが激しい店はさておき、「海の星」のように基本的に顔ぶれが変わらない店であっても、当たり前のことだが、客は毎日違う。

「あの日」の後悔を胸に、「その日」出会うお客様にどれほど丁寧に接したとしても、一度信用を失った客が再び来店することは稀なのだ。



 だからこそ毎日を大切に。

 一組一組、一人一人に対して、間違いが許されない仕事。



「岩清水さん! この間のお客様、いま予約電話くれてる!! この予約取りたい!!」


 * * *