月に願いし君への想い。君は何を想う

作者中島みつる

 幼馴染である障害を抱えた一磨に寄り添う主人公、月渚。そんな時、皆既月食に「一磨が病気でなければ」と願うと不思議なことに、次の日から一磨は普通になっていた。
 これは主人公が十二年前に体験した不思議な世界。そこで出会った不思議な少女【花月】との奇跡の体験。

 それは十二年前に体験した皆既月食と一人の少女との奇跡の出会いから始まる。そして障害を持った少年との奇妙な関係も。

 十二年間、いつまで経っても変わらない世の中に奮闘する主人公の天手月渚あまてるなは、久しぶりの月食を友人の佐野央樹さのおうきと共に公園でぼんやりと眺めていた。そうして眺めていると十二年前、中学二年生の頃に出会った少女、月弓花月つきゆみかづきと幼馴染である影入一磨かげいりかずまを思い出す。

 その頃、障害を抱えた一磨に寄り添いながら学校生活を送る月渚は、ある皆既月食の夜、月にある願い事をする。

 それを境に、いつもと違う病気が治った一磨と出会う。いつもと違う一磨に翻弄されながらも、花月と央樹に支えられ、この世界の真実を求め前向きに生きていく。

 たぶん誰しも思う「大切な人が病気でなければ良かったのに」と願う気持ち。でも、その気持ちは本当なのだろうか?

 神話の時代から続くツクヨミとウケモチの因縁。そんな世界の謎と月渚の成長を描いた作品で最後にさまざまな奇跡が訪れます。

 月渚と花月の想いをみなさんにも届きますように。

 これは物語の中だけでも我が子と普通に遊べたらと思った障害児を持つ親の切ない空想劇です。