あらすじ

 

ー平安時代の京の都と、江戸時代の武家屋敷にて、二人の少年が、その命を散らしかけた時。

彼らの身体は、突如消え失せた…。ー

 

 現代の田舎に生きる高校生、真添秀太まぞえしゅうたの家は、平安時代から続くまれ神社。冬も終わりに近づいた頃、家族を亡くし、笑顔を失った少女・萌黄もえぎを急遽引き取ることに。彼女は必ず当たる不思議な“勘”を持っていた。

 萌黄が元気になれるよう奮闘する秀太だったが、突然不気味な花を売る不審な人々が神社を訪れ、「ここでこの花を使ってくれ」と言い出す。何とか断れたが、『ここは我らにとって邪魔な処』という声が聴こえた萌黄はゾッとする。

 その時、二人の前に突如白いもふもふした生き物が現れ、稀神社の奥にある御神木の桜まで導かれる。刹那、まだ蕾だった桜が一斉に花開き、金色の眩い光が辺りを包む!

 それらが幻のように消えた後、木の根元には、気を失い倒れている二人の少年がいた!秀太は摩訶不思議な現象に慌てながらも少年達を保護する事に。

 目を覚ました少年達、暁春あきはるかぶら。本人達曰く、なんと暁春は平安時代の祓い師で、鏑は江戸時代の武家屋敷の護衛だったが、各々が仕えていた姫を守る為に自ら囮になり、死んだと思ったらここにいたという。見た事のないものが溢れる現代に二人は警戒するが、温かい心で接する真添家や萌黄といるうちに打ち解け、現代の知識を学びながら元の時代へ帰る術を探す事に。

 まずはトリップした二人と稀神社に関係はあるのか、そしてトリップが起きた御神木について調べる為、家にあった歴代宮司と御神木について書かれた書物を読むが、「この神木、悪しきものを祓う力あり。ゆえに村外不出にし、その全てを他の者に話すべからず。さもなくばこの村、悪しき心に巣喰われ、滅びむ。」という記述がされていた。

 二人が現代の生活に慣れてきた頃、町民達に不思議な言動が。それが増えていくと共に町に出回っていく、例の怪しい花…。暁春と鏑は、自分達の時代にもこの花が存在したが、敵方の者達がしきりに崇めていたものだと言う。特に暁春は、「これは森羅万象の力でできた物ではない」と感じていた。

 怪しげな花の正体と、御神木の謎を解こうとする三人と萌黄。やがて両者の意外な関係と、花売り達の背後にいる恐ろしいモノの存在が明るみになり、暁春と鏑もこの時代に来た理由、自分達が死にかけた事件の裏に存在した、強大な敵を知る事となる!

 目に見えぬ魔の手が迫る中、社を、大好きな町を守る為に立ち上がる秀太と、元の時代に帰って愛する人を再び守り、敵を討つ為に協力する暁春と鏑。

 二人は無事に元の世界に戻れるのか、秀太は山瀬を守れるのか!?

 時を超えた三人の奇妙な縁が、今、紡がれる!