物語全体のあらすじ

18世紀後半、突如として世界中の全人類は“死ねなくなった”。『復楽園』と呼ばれるその現象は、初め“不死の祝福”として人々に歓迎されたが、しかし次第に人々は、それが祝福などではなく“呪い”である事を理解していく。

人が死なないと言うことはつまり、人類の総人口が増え続けていくと言うこと。復楽園以降、世界の人口は着々と増していき、ついにその数は、地球という惑星のキャパシティを超えてしまう。

結果、食糧と資源の不足に陥った国々は、戦争を繰り広げ、限られた土地と資源を互いに奪い合うようになった。


主人公である山田浅右衛門葛葉は、首切り一族である山田家の次期当主としてこの世に生を受けた。

山田家は、戦争で捕えた捕虜の首を切り、残った頭部を海底深くに生きたまま沈める”斬首流刑”を生業とする呪われた一族だが、しかし葛葉はそんな一族の次期当主という身でありながら、UMAや超常現象といった“謎”に強く惹かれ、いずれはそう言った“未知”を探すために家を出たいと願う青年だった。

そして、彼のその願いは思わぬ形で叶うこととなる。


ある日、山田家の邸宅に治安維持局を名乗る組織がやって来る。そして、葛葉の父が『国体に関わるある重大な秘密』を嗅ぎ回っているとして、容疑者である父とその息子である葛葉は連行されてしまう。そして捕まった先で葛葉は、次期当主の座を狙っていた妹が、治安維持局に自分と父親を売っていたことを知る。


葛葉は父と共に有罪となり、自分を売った妹の手で斬首される。そして最期は”斬首流刑”によりその頭部を海底深くに沈められることとなるのだが――深く沈んだ海の底で彼は、思いもよらないモノに出会う。


本来、生物など存在できないはずの高水圧下。そんな死の世界で、体長数百メートルはあろうかという程に巨大な怪物を発見したのだ。水圧の苦しさと、暗闇の孤独感の中、葛葉は思いもよらず見つけたその“未知の怪物”の姿に興奮する。


しばらくすると、怪物は目を覚ました。そしてその巨体で上昇水流を巻き起こすと、海底に沈んでいた葛葉の頭部を海面近くまで浮かび上がらせた。そのおかげで葛葉は、再び地上へと舞い戻ることに成功する。


地上へと戻った葛葉はどうしても、海底で見たあの巨大な怪物の事が忘れられなかった。

あの怪物はなんなのか? なぜあんな海の底で眠っているのか? どうして海の底に沈んでいた自分を“助けた”のか? 次々と浮かび上がる疑問。沸き上がる“未知”への探究心。

葛葉は怪物の正体を明らかにするべく、世界を股にかけた冒険の旅へと出立する。


しかし彼が探し求めるその“謎”の答えは、世界の命運、葛葉の父が知ってしまった秘密、そして“人が死ねなくなった原因”に深く関係しており、重大な謎の解明を追求する葛葉は次第に、その身を狙われるようになる…。