物語全体のあらすじ
地球とは違い、化学の代わりに魔法が発達した異世界『ミレナード』。この世界では転生者を利用価値のある資源とみなし、『転生者発展協約』という、転生者は前世の記憶にある有益な知識を1つ国に納めなければならない決まりがある世界だった。
新たな知識と利益をもたらす転生者は、保証も手厚く重宝されがちである。
そのため、転生者に産まれたかったと願う者も多いのだが、『ミレナード』に転生したシイナ=カーネリアンは、転生者として国に身を捧げて生きるなんてノーセンキュー。
前世はしがない女子高生だった私に納められる知識なんてないと怯え、転生者であることを誤魔化して17歳まで生きてきた。
しかし、実家のパン屋さんで作った新メニューから、転生者であることがバレてしまい、あっさり王城へと連れて行かれる。
そこで、前世は何をしていたのかと聞かれ、唯一自分が熱中していた、アイドルプロデュースゲームを思い出して「アイドルをプロデュースしていました!」と言ってしまう。
さらに、国王からのアイドルとは何なのかという問いに対し、魅力を伝えるためにオタク特有の長文を早口で熱く語ったところ、この世界でアイドルをプロデュースすることになってしまった。
「って、ちょっと待って! 私がアイドルをプロデュースしていたのはゲームの話であって、現実の話ではないんですけど!!」
その上、この世界には前世に当然のようにあったものがない。
「マイクもない、衣装を作ってくれるところもない、ダンスの振り付けなんて出来ないし、アイドルのスカウトも自分でするの!?」
さらに、国の役に立たないことが分かったらアイドルプロデュース計画は即打ち切りで、転生者であることを隠していた罪を問われて破滅コース。アイドル以外に捧げられるような知識なんてないし、絶対に成功させるしかない!
それだけでも大変なのに、甘くて優しい幼馴染みとツンデレな推しとの恋の三角関係まで絡んできて、毎日が大忙し!?
シイナの異世界アイドルプロデュースは、幼馴染みの天才魔道具職人であるロイ=フォードや、同じ転生者で前世はデザイナーのニコル=プリムラ、その生い立ちから『悲劇の毒薔薇』として遠巻きにされている美少年騎士見習いのベルカ=ローゼンハイツを巻き込んで、様々な問題に立ち向かいながら進んでいく。
「よしっ、決めた。こうなったら、世界の果てまで届くぐらい、私達でアイドルを届けよう! 私、あなた達とならどこまでもいけちゃうし、何だって出来るんだから!!」
はたして、異世界でアイドルを1からプロデュースすることになったシイナの運命は──!?