物語全体のあらすじ
それはまさに、青天の霹靂のような出来事だった。
「ルカ。俺と婚約破棄してくれないか?」
「……え?」
「所詮は、幼馴染みだからって親に決められた冗談みたいなものだったしさ。俺、好きな人が出来たんだ」
「あ、そう……なんだ……?」
「おう。初めて大切にしたいって思った子なんだよ」
薬師のルカはある日突然、幼馴染みで婚約者のオーウェンに婚約破棄をされてしまう。てっきり両想いだと思い込んでいたルカはやけくそになり、
「もう無理。生きていけない。オーウェンのことがずっと本当に好きで、その冗談みたいな婚約を信じて今まで生きてきたなんて、我ながらイタすぎる……!」
と、立ち入ることを禁止されていた魔の森へ出かける。そこで美しい龍、ミレシアに会ったルカは、『このまま餓死するぐらいなら一思いに食べられた方がいい!』と思い、ミレシアに
「あの、私のことを食べてくれませんか!」
と依頼するが、人間を食べる趣味はないと、あっさり断られてしまうのだった。そして、ミレシアが去っていく時に、ミレシアが怪我をしていることに気がついたルカは、怪我の手当てを申し出る。
すると、ミレシアはそのお礼に、ルカが死のうとしたわけを聞いてくれることになった。
ルカの話を聞いたミレシアは、
「他に男なんていくらでもいるだろう。事故だと思って忘れろ。お前は何も悪くないぞ」
と言って優しく慰めてくれる。そのおかげでなんとか立ち直り、街へ変えることを決めたルカは、ミレシアに
「また明日も傷が痛んだら、ここまで来てくださいね!」
と言って、薬屋の場所を告げて別れる。すると翌日、人化したミレシアが、息を呑むほどの美青年となって薬屋を訪れてきた!
しかも、その日から毎日新しい怪我を作ってルカの薬屋を訪れるようになったミレシア。そのことを心配したルカが、毎日怪我を作ってくる理由を尋ねると、ミレシアは
「これはただ、お前に会う理由が欲しくてやっていただけだ。この俺を傷つけられるような奴がいるわけないだろう。それなのに、俺を心配して泣くなんてルカは本当にかわいいな」
と言って、ルカに強引にキスをして──!?
さらに、婚約破棄を申し出てきたはずのオーウェンもルカに復縁を迫り、怒涛の展開を迎える。
「離れてから初めて、やっぱり1番大切なのはルカだって気づいたんだ。俺達、もう1回やり直せないか?」
「…………私が、好きなのはッ……!」
そこで、ルカが下した決断とは──!!
これは、婚約破棄されてボロボロになったルカが、美しい龍に溺愛されて強さを取り戻すまでの物語。