平凡な社会人の私が幸せになれるのは――

カラダを求め合う一斗か
ココロを満たされる馨織か

それとも、望みを叶える悪魔か……



これは、“何もない”私が誰かのために命を燃やす、現代のおとぎ話。

 深夜3時33分丁度、強く想いを抱き鏡を覗くと、願いを叶える者がやってくる――。


 そんな都市伝説がまことしやかに囁かれている現代の日本。

 社会人5年目、見た目も中身も平凡な女性、真宮塔子まみや とうこは、将来への漠然とした不安や焦りを抱えながら日常を送っていた。

 その不安要素のひとつになっているのは、忘れ物をしたことをきっかけに関係をもつようになった、コンビニ店員で大学生の荒木一斗あらき いちとの存在。実は一斗は幼少期より第六感に優れ、人の心の声を聞いたり、超能力的な力を使ったりすることもできる。裏表のない塔子は彼にとって非常に扱いやすく、断れない性格をいいことに、ずるずると関係が続いていた。

 日々悩み、疲弊する彼女は深夜のテレビ鑑賞で、ある青年に癒される。アイドルグループのメンバー、夜辺馨織やべ かおるであった。「会ってみたい」と願ったその翌日、偶然にもバーで知り合い、人見知り克服のために定期的に会ってほしいと懇願される。塔子は勿論受け入れるのだが……


 この出会いは、理不尽で非現実的な波乱の幕開けに過ぎなかった――。


 一斗とカラダを重ね、馨織とはデートを重ねる……本当にこのままでいいのかと思い悩む塔子の前に、悪魔を自称する男、ユウが現れる。馨織との出会い等、都合よく願いを叶えたのは自分であり、その時点で契約は成立していると一方的に告げられる。悪魔の契約とは、望みを叶える代わりに、その人の不幸を差し出すというものであった。

 偶然にも、意図せず、例の都市伝説を実行していた塔子。“願いを叶える者”は、悪魔を意味していたのだとわかる。

 にわかには信じがたく真剣に取り合わない塔子に対し、一斗は持ち前の超感覚から、本物の悪魔かもしれないと感じ、彼女を守ろうとする。

 一斗、馨織との関係が続く中、ユウが馨織に接触したことを知り、関わることをやめさせようとする。しかしユウは塔子に、馨織とは既に契約した、自分と“つがい”になって地獄へ落ちるなら馨織を解放してもいいという。それを聞き、自分に悪魔が憑いていることで、周囲の人まで不幸にしてしまうことを思い知る塔子。馨織を救い、悪魔の契約から逃れるため、一斗の協力を得てユウと対峙することを決意する。


 満たされるのは心か、カラダか。塔子の心身と不幸を渇望する悪魔に打ち勝ち、彼女は本当の幸せにたどり着くことができるのだろうか。