物語全体のあらすじ


 「はじまりの村で勇者が死んだ」

 村長に呼び出された村人Aは、異世界から召喚された勇者を導く立場にある「はじまりの村」が召喚された勇者を死なせた咎で取りつぶしになる事を恐れた村長及び村の住人達によって「死んだ勇者と背格好のよく似ている」と言う理由だけで勇者の代わりに旅立つことを余儀なくされる。

 故郷の村を守る為、勇者に成りすますことになった村人Aは、勇者死亡の為に加護を失い鉄くず同然となった聖剣をたずさえ幼馴染の宿屋の娘Bや仲間になった東の森の主ワン公と王国の隠密や王女と共に村長がお告げを頼りに書いた攻略本「ファンシーな日記帳」を手に勇者が行うはずだったクエスト・イベントを「勇者の特権無しで」どうにかクリアしていく。

 そして、ついにたどり着いた魔王城で村人Aが目にしたのは魔王として君臨する死んだはずの勇者の姿だった。

 召喚後、全ての理を理解していた勇者は『どこにも立ち寄らず』、チート級の力で魔王を倒したがどういう訳か元の世界に帰還することが出来きなかったばかりか、魔王を倒した事により負のエネルギーを失いバランスを崩した世界が崩壊の危機を迎えてしまいその自責の念から苦肉の策として『自分を死んだ事にして』この世界に魔王として君臨し負のエネルギーを補充しながら自分の元来た世界へ帰る術を探していたのだがそれが不可能だと悟った魔王は村人Aに勇者として自分を殺し魔王が倒されたという事実をもってこの世界を救うように頼む。

 魔王となってしまった哀れな勇者。

 ここで無抵抗の魔王を倒せば、村は救われ世界に平和が訪れる。

 仲間達からも元の世界に戻れないのならいっそ殺して楽にした方が良いと勧められた村人Aであったが、村人Aはそれを拒み魔王を救い元の世界に戻すことを約束する。

 しかし、既に魔王は勇者が倒した後であり魔王消滅からの帰還エディングは望めない。

 その為、村人Aと仲間たちは壊れていた聖剣を修復し魔王に装備させることで魔王の本質である勇者の存在を『世界』に認識させ『勇者が魔王を倒した』という事実を上書きすることで概念的な認識災害を起こし勇者帰還エンディングを発生させ実行する。

 そして、村人Aと仲間達は勇者帰還と魔王討伐を成功させ故郷に帰ったのだが……。