高校3年の一夏の恋。なにがあったわけでもない、でも私の大切な思い出ができた。
弓道場ー…
一礼、
的前に立つ
深呼吸
くそ煩いセミの声が一瞬で消える
手の内をつくる
すぅーっとゆっくり弓を持ち上げ
弦を引く
キリリと弓が鳴る
引き分ける
狙いを定める
スッと自然に矢が離れる
瞬間に感じる手応え
「(入った!)」
パァンッ!!
という的に矢が当たる音と同時に
よく通る澄んだ声が響いた
「よしっ!!」
その音が、その声が響いた瞬間
私は恋に落ちたー…