早く大人になりたいと足掻く高校生。大人になったら忘れてしまう、あの日々の息苦しさを描いた青春ストーリー。
16歳の春
桜を見るだけで、胸が高鳴った。
新しい制服を着て、ロファーを履いて、スクールバッグを持つ。
今日から高校生だ!ってスキップした。
勉強も運動も中の中。
ずば抜けた才能も、見た目も特に可愛くも、美人でもない。
でも、この日だけは自分が主人公みたいになった気分で、なんでも出来る気がした。
入学式の日。
私はまだまだ"こども"だった。