五歳の時、夕立がおにいちゃんを連れて逝ってしまった。家族の命を犠牲にして、私は今日もまだ息をしている。

五歳の夏、夕立がお兄ちゃんを連れて逝ってしまった。



一つの命を犠牲にして、私は今日もまだ息をしている。




「こんにちは。きみは……彼岸に魅入られた子だね」



「ここにいたいのなら、いくらでも居座るといい」




雨が降り続ける宮で出会ったのは、雨の神とその神の面倒を見る一人の青年。



あなたと話していると、何故こんなにも感情が揺れ動くのだろう。




「どうか、元気で」




雨宮での出来事を、私は決して忘れない。





企画【入道雲の向こう側】参加作品