古びた社に一人、残されたミズキは隠し神が現れることを願った。
すると、一人の男が現れた。
地面につくほどの長い黒髪に赤黒い神主のような衣服を身に纏うその男は、ミズキを見て問う。
「どうしたんだい?」
音もなく現れた男にミズキは「隠し神さまでしょうか」と問い返した。すると、彼は「そう呼ばれているね」と答えた。
ミズキは緊張しながらも事情を話す。それを聞いた隠し神は彼女を観察すると呟いた。
「好みではあるけれど、お前は幼子じゃないねぇ」
このままでは村を救うことができないとミズキは意を決して言った。
「どうか、私を妻にしてください」
自分しかいないのです、どうか村を救ってくださいと。
隠し神は妻にしてくれと言われたことに驚き、そして「あぁ、妻ならば」と納得したように頷いた。
「ワタシ好みの娘だ、妻ならば、連れて帰ろうかね」
そう言って笑みを見せると彼はミズキを抱き抱えて妖かしの世界へと連れ帰った。