あの人は親友の兄で、私にウッドベースを貸してくれた人。
好きになっても結ばれないことは初めからわかっていたのに、どうしてあの音色に惹かれてやまないのだろう。

ベース奏者の小雪は武から借りた楽器を抱え、ライブハウスに向かう。付き合っている信洋といるときも思い浮かぶのはあの人のことばかり。心がこちら…

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「やましいことなんてないよね?」


「どうして紗弥さんと結婚しないんですか?」


「待っているのは奈落だけだ」


「シン兄のかけらを集めながら生きているの」



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「……後悔しないか」


「私は……このままのタケ兄が欲しい」


「おまえとどこでつながってるかわかんないから……

 切るのはやめとく……」