立待月の夜、チョコレートをほおばる。それは五度目も渡せなかったチョコレート。ひねくれた自分の喉へ、押しこめる。きらわれるくらいなら、こんなもの渡さない方がいい。あの「言葉」も言わない方がいい。ずっとそう思っていたのに――彼は私の前に現れた。