来瀬川には「「死なないホタル」がいるという。恋人の明里は、十八の時に行方知れずになった。いつかまた『ホタルの夜会』に姿を見せるかもしれないと、俺は希望にすがって生きてきた。ある年の初夏、『ホタルの夜会』で明里の姿を見つける。明里を引きとめようと、俺はある話を彼女に突きつける。嫌われても構…もっと見る
「……全部だめになるかもしれないよ」
「かまわない。明里がいるなら」
「私が急に死んじゃったらどうするの?」
「俺も一緒に死ぬよ」
「だめだよ。私が死んでも清里は生きて」