父は、娘を「呪い」と呼んだ。
没落した実家を救うため、お金持ちの男性と結婚する以外、なんの価値もなかった鶴。
父が決めた婚約者は、初めて会った鶴に「自分は呪われている」と告げた。
婚約者の青年がひとりで暮らしていた屋敷は、うすら寒く不気味。
そこで過ごすことになった鶴は、彼が「呪い」と呼ぶ怪奇現象を目の当たりにし、愛刀・”真白”とその憑き物であるシロちゃんとともに、呪いの解決をはかることを決める。
呪われた婚約者と呪いと呼ばれた少女は、ともに「呪い」の正体を追ううちに、少しずつ心を通わせるようになって――
「何者でもないわたし」が自分の思いを見つけて、鶴の世界は姿を変えてゆく。
ひとりぼっちだった青年とともに見えた景色は、今までよりもずっと広く、明るい気がした。