犯罪者の妹となってしまった中学二年生のつぐみ。住む場所を転々としながら心を閉ざして生きていた。
叔母であり姉のような存在の糸子と暮らし始めたつぐみは、路上で歌を歌っている少年、ヒビキと出会う。
ヒビキはつぐみの憧れていたロックバンドの元ボーカリスト、レイジと一緒に暮らしていた。
ふたりから影響を受…

その歌声に壊された。



悲しみも、苦しみも、痛みも、後ろめたさも


全部感じたくなくて


自分を閉じ込め生きてきたのに。



彼の声につけられたわずかな亀裂は


あたしを覆っていた薄っぺらなガラスを


ゆっくりと優しく壊していった。