何処の地か、世か。
東の果ての大陸に皇帝を頂く国があった。

その名を安《あん》という。

古《いにしえ》からの習慣が色濃く残るこの国では、女子と男子の役割は明確に分けられ、領分を犯さないことが美徳であると考えられていた。

そんな安国《あんのくに》に彗星の如く現れ歴史に名を残した女性がいる。

何処の地か、世か。

東の果ての大陸に皇帝を頂く国があった。


その名をあんという。


いにしえからの習慣が色濃く残るこの国では、女子と男子の役割は明確に分けられ、決してその領分を犯さないことが美徳であると考えられていた。


そんな安国あんのくにに彗星の如く現れ歴史に名を残した女性がいる。


名を楊明鈴ヨウメイリン

地方の貴族の出身である明鈴は、女性として初めての官僚となり、周囲から激しい批判を浴びながらも、常識にとらわれず、自らの意思を貫き生きた。


遠い昔、安国あんのくにに生きた一人の少女の自立と恋の物語である。