魔王と囚われた王妃 ~断末魔の声が、わたしの心を狂わせる~

作者長月京子

絶世の美貌を謳われた王妃レイアの記憶に残っているのは、愛しい王の最期の声だけ。
凄惨な過去の衝撃から、ほとんどの記憶を失ったまま、レイアは魔界の城に囚われている。

人界を滅ぼした魔王ディオン。
逃亡を試みたレイアの前で、ディオンは共にあった侍女のノルンをためらいもなく切り捨てる。

「――おまえ…

 呼吸の狭間で、血のように深い彼の瞳を見つめた。


「ーーディオン、様」


「……愛している、ルシア。ーーおまえには、もうわかっているはずだ」


 ほとばしるような激情を隠さず、愛していると低い声が繰り返す。


魔王と囚われた王妃


愛した女神の悲しみを刻み、彼は堕天を選んだ。


神話モチーフの恋愛ファンタジー。