誰も好きになれない。誰からも好かれない。
 まもなく大学への入学を控える女子高生"影澤 明依"は、兄と兄の友人、そして中学時代の同級生の男子4人と1つ屋根の下で生活をしている。数年前、誰の言葉か覚えていないが泣いている自分へかけられた「守ってやる」という言葉を想起しては、ここが帰る場所であると信じ…

 誰も好きになれない。誰からも好かれない。

 まもなく大学への入学を控える女子高生"影澤明依"は、兄と兄の恋仲の男、そして中学時代の同級生の男子と4人で生活をしている。誰が言ったか覚えていないが「守ってやる」という言葉を信じ、開け続けてきた家の扉はいつしか重く感じられるようになっていた。


 3人との生活に息苦しさを感じ、自室に逃げ込み、彼らとまだ普通に話せていた頃の記憶を思い起こして過ごす日々。心が重くなっていくこの家から、大学進学を期に「一人暮らしをしたい」と申し出るが、兄はこの家を出ることを許さなかった。


 彼女にとって疎外感を抱くこの家に、彼らがいる理由は明依への愛であることを彼女は知らない。


 進学後、明依は高校の同級生だった"龍斗"に被写体として映像系のサークルへの勧誘を持ちかけられる。

 《恋》をテーマに作品を撮りたいという彼に、明依は自身が恋愛感情を他者へ抱いたことがないことを話す。


 恋をするのは当たり前なのか。周りの言う《恋》という感情を知りたいという理由から作品への参加を決意する。

 その中で、忘れていた愛の形跡が記憶から掘り起こされる。孤独と闘う少女と彼女を見守る男達の物語。