一番彗~イチバンボシ~

作者桜 茉白

「やった方は何事も無かったかのようにしているけれど、やっぱりやられた方はずっとずっと深く傷ついて、今でも思い出すんだよね。」

彗はよくそう言っていた。優しい笑顔で、眉を寄せつつ困った表情を浮かべたまま。俺は何も出来なかった。助けられなかった。ずっとそばに居たのに何も出来ないまま時間ばかりが経っていった。消えない傷を、彼女は長い時間をかけて忘れようとしていたのに……