人は生を受けてから選択の連続だ。
選択の過ちにより、人生が大きく誤作動することだってある。
美由紀のある選択が取り返しのつかない事件を引き起こした、切なくて苦しい、11月の物語。

 美由紀みゆきは自宅の玄関先にしゃがみこんで黄色いイチョウの葉っぱを手でいじっていた。

 独りで寂しそうにしていたため、隣に住む幼馴染のけんが声をかけると、美由紀は健の声で一気に明るい表情を取り戻した。


「美由紀は大きくなったら健君のお嫁さんになりたいなぁ」


「いいよ。美由紀は俺のお嫁さんにしてあげる」


 美由紀の家からは両親の怒鳴り合う罵声が聞こえてくる。


「ほんと! 嬉しいな。そしたら、パパとママみたいに喧嘩ばかりしていないで、ずっと仲良くしようね」


「そうしよう。約束だ。美由紀、寒いから肉まん買って半分個しようか」


「うん!!」


 美由紀7歳、健8歳。

 11月のことだった。