古からある大陸の中に、夜を統べる女神が降臨して建国されたと伝承されるニュクス国がありました。なぜなら、夜の時間がとても長く、日によってはお日様が出ない日もあるからです。
しかし、ニュクス国は、火山があるため温暖肥沃な土地に恵まれ、短い日照時間でも穀物や果樹が多く実り、山では鉱石や鉱物が取れることから鉄器や工芸などの工業も発達し、人々はとても豊かで幸せに暮らしていました。
そして、ニュクス国の民は夜の時間の楽しみ方をよく知っています。
夜は自分の大事な人と過ごすものとし、黄昏時は静寂に、真夜中は親密に、夜明けは穏やかに過ごす事が是とされていました。
そんなニュクス王家には三人の姫がいました。夜の移り変わりを具現化したような見た目を持つため、黄昏姫、真夜中姫、夜明け姫と呼ばれ、とても見目麗しい美姫達でしたが、中々良縁に恵まれず王様は悩んでいました。
しかし、このままでは王家が断絶してしまうと考えた王様は、三人の姫達に一年以内に結婚する相手を見つける事、さもなければ臣下に嫁がせると命令したのです。
姫達は悩みました。三人の姫達には一体どんな運命が待ち構えているのでしょうか。
――これは、昔々の三人の姫達の物語。