四角い部屋の水槽 【恋に焦がれて鳴く蝉よりも・番外編】

作者橘 弥久莉

入社時から、ひたむきな想いを寄せて
いた蛍里に失恋してから約一年。滝田
は遣る瀬無い想いを抱えたまま、前に
進めずにいた。そんな中、蛍里と同じ
経理部で働く結子から飲みに誘われる。
渡されたメモを見、彼女から寄せられ
る想いに気付きながらも、滝田は月に
一度、結子と会うように。けれど、
いつまでも…

 「好きになって、よかった」


 ごく自然に、そんな言葉が口から

零れ落ちた。


 彼女は眩しそうに目を細め、


 「好きになってくれて、ありがとう」


と、笑みを深めた。




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《登場人物》



 ・滝田 敦史(たきた あつし)


サカキグループの販売促進部に所属して

いたが、トウショウHDとのM&Aを機に

エリアマネージャーへ。同期の折原蛍里

に片思いをしていたが、告白の末、失恋。


・五十嵐 結子 (いがらし ゆうこ)


サカキグループの経理で働いており、

密かに滝田に想いを寄せている。大人

メイクが似合う美人で、滝田が失恋し

た折原蛍里とは一番の仲良し。


・折原 蛍里 (おりはら ほとり)


サカキグループの経理部で働いている。

読書好きが高じてアマチュア作家であ

る詩乃守人の小説サイトに出会う。が、

のちに榊一久がその小説サイトの管理

人であることを知り、芽生えていた

恋心を断ち切る。


・榊 一久 (さかき かずひさ)


サカキグループの後取りであり、社長、

榊幸四郎の養子。専務職に就いていた

が、政略結婚の相手である秋元紫月と

の婚約解消を機に専務の職を辞する。


※この物語は「恋に焦がれて鳴く蝉

よりも」の番外編です。このままお読

みいただくことも可能ですが、本編を

読んでいただいた方が、より、楽しめ

るかと思います。第二部・「四角い

部屋の水槽」は本編で一久がサカキ

グループを去ってから約一年後、

蛍里と再会を果たす前のお話です。


※この物語はフィクションです。

作中に登場する人物や団体は実在しません。


※表紙画像はフリー画像サイト、pixabay

から選んだものを使用しています。



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