あらかじめ失われた恋人 ーたった一人の銀河鉄道ー

作者梶マユカ

私は今一人、列車に乗っている。
ガタンゴトンと音のする、懐かしいその列車で、 かつて私は愛する君と旅をした。
その事実は消えない。
けれど私は、その事実を、そこで思い知らされた真実を、 私と君以外の誰にも知られるわけにはいかない。
だから私は描いた。 美しくも虚構に塗れた『銀河鉄道の夜…