――苦しい。息が出来ない。
芽衣胡の首には麻縄がひと巻きされ、麻縄の両端を大の男二人がそれぞれに持ち、芽衣胡の首を絞めるよう引っ張っていた。
「お前などが生きているからだっ……」
「――っぁ……」
空気を欲しても芽衣胡の喉奥に山中の清洌な空気は届かない。青北風が枯れた枝葉を揺らしている。
生を求め必死に抗おうと縄に掛けている芽衣胡の指がだらりと下を向いた。
――なにゆえ……。……わたしは死んでしまうのか……。
瞳からは最後の涙が落ち地面を濡らした。もう何も映さない瞳を隠すように目蓋が落ちる。
走馬灯だろうか。芽衣胡の脳裡に浮かぶのはこれまでの出来事だった――。