もう、離れるな。俺がお前の耳になってやるから 〜地味子×チャラ男の一途な両片思い〜

作者和泉杏咲

佐川琴莉(17)高校2年生
松井波音(18)高校3年生

あなたがこの先、誰を抱いていてもいい。
私のことは、もう抱いてくれなくてもいい。
だからどうか。
どうか奪わないで下さい。
あなたが、私が好きな声で言ってくれた言葉だけは……。

彼は幼馴染だった。
かつては、いつも一緒にいるのが
当たり前…

私は、あなたの声が好きでした。


あなたが、大好きでした。


けれど。


もう私には、あなたの声が美しく聞こえないのです。


側にいればいるほど、その事実が悲しくなるのです。


私はあなたの声が聞こえなくても当たり前の距離まで離れます。




失ったことを嘆くより、最初からないままの方が、私の心は守れると思いました。


なのに、どうしてですか?


なんであなたは、私の前から消えてはくれないのですか?




「俺が、君の耳になるから」




そうじゃない。


私が欲しいのは、それではないのです。


ただ、宝物を大事にしたいだけです。


離れることを許してください。



あなたのせいです。


あなたの側にいたから。


あなたに恋をしたから。


神様は私からあなたの声を奪ったのです。



これ以上、私から何も奪わないで。


私は私の中にいる


あなたの声だけで十分なのですから。