二十年前に私をセフレ扱いした男に、今、会いに行きます。

作者梅花(メイファ)

田中久美子(40歳)は夫と息子ひとりのパート主婦。氷河期を経験し、就職とその後の人生で苦労をしたが、夫の健一は税理士試験に合格し、タワーマンションを買うなど生活はやっと安定してきた。夫とは仲が悪いわけではないが、いいとも言えない。

ある日、久美子はパートにいく途中に、電車の火災事故に遭遇する。さ…

田中久美子は40歳の主婦。夫の健一とひとり息子の陸と暮らしながら、パートをしている。

就職氷河期世代で、若い頃は辛酸をなめたが、夫の健一は税理士試験に見事合格し、

タワーマンションを買うなど、生活は安定しはじめた。


しかし、健一は久美子を女性として、妻として見ることをやめており、久美子は一抹の寂しさを

抱えている。


ある日、パートに行く途中、久美子は電車で火災事故に合う。幸い怪我はなかったが、体調不良

によりパートをしばらく休むことになる。


ワイドショーは、有名大学の複数の男子学生がひとりの女子学生に性的な暴行を加えたという話題で

持ち切りだった。女子学生の「落ち度」を問う中で、ひとりの男性弁護士だけが女子学生を擁護し、

人気を博していく。弁護士・太田マキ男は20年前、久美子をセフレ以下の扱いをした男だったー。


マキ男の人気はあがる一方で、大物芸能人に気に入られ、バラエテイ番組のレギュラー出演者となる。

本業でも、独立して事務所を構えるなど、絶好調。マキ男の「ウラの顔」を知っている久美子は納得がいかない。


週刊誌にタレこんでも記事化を断られ、かつての旧友には「ひまだから余計なことを考える」とまで言われるが、

久美子はあきらめられない。マキ男の事務所におしかけるが会うことはできず、マキ男を尾行するが、住んでいる

場所はわかったけれど、声をかけることに失敗する。


ゆっくり壊れていく久美子。セキュリティの壁にはばまれ、マキ男と会うことができないが、ある時

”秘策”を思いつき、マキ男と再会を果たすのだった。